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人間ドックを受けるぞ~! [雑談]

3月はじめに人間ドックを受けることにしました。

上から下から内視鏡を入れたり、MRI、MRA、エコーとかいろいろ。

1泊2日でガッチリ調べてきます。だけど緊張してる!!


それと、4作目の「Te amo」もボチボチ好評でした。2作目の「鏡の向こうに」が一番アクセス数が多かったかな!?まあ、他の作品も暇な時でも読んでください。

ではでは、健康チェックが終わったら次の小説でも書こうと思いますのでヨロシコー[晴れ]


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Te amo 番外編 [小説 Te amo 全15話+1話]

明日を夢見る少年

 光が闇を包むのか、闇が光を犯すのか分からない。僕は割れた窓ガラスから射し込む月明かりもいつかは闇に侵食されてしまうのだろうと思えた。
 僕はストリートチルドレンだ。昼間は食べ物を求めてストリート仲間と街を徘徊し、夜はこの家で寝泊まりしている。この家とは元々僕の家だったけど誰かに取られてしまった。まだ誰も住んでないから僕が隠れ家にしてるんだ。
 寝る時はベッドとベッドの間で膝とピストルを抱えて眠る。ベッドで寝ると狙撃されたり、忍び込んでいることがバレてしまう。今日も物音に怯えながら浅い眠りに就く。


 昼間、僕は日本人観光客に声を掛けられた。英語で話し掛けてくる観光客に(日本語話せます)と言ったらビックリしてた。その観光客が聞きたかったのは、ガイドブックに載っていない飲食店や遊べる所を知りたいと言う。僕は地元のヤツしか行かない飲食店へ連れて行ったり、歌が歌える店(日本ではカラオケと言い始めてた)を紹介した。

 日本人観光客とカラオケ店を出るとチップをくれた。しかもチップの額がこの国で3ヵ月は普通に暮らせる額だった。物価の違いは僕も知ってるけど、今の僕には眩しいチップだ。
「そんなに貰えないよ。ご飯も奢ってもらって、歌まで歌って・・・。」
僕は断ったけど、日本人は、
「いいのよ。こんなに楽しい旅行になったのもあなたのお陰なんだから。」
と手渡してくれた。


 僕が大金を手にした頃、ストリート仲間のマイケルも置き引きをして大金を手にしていた。お互いに大金を持っていることを探り探りに聞き出したんだ。そしてマイケルが、
「明日、服買いに大きな街へ行こうよ!?」
と言う。僕は、
「うん、いいよ。」
と応えた。
「じゃあ、明日の朝9時にバス停で待ち合わせ!絶対遅れんなよぉ。」
「分かった。」

 8時半に僕はバス停でマイケルを待った。早く来たからといって何も変わらないのにドキドキしてた。(何でだろう?)と自分に問うが分からない。とにかくドキドキしていた。
 9時になってもマイケルが来ない。12時になっても来ない。僕は陽が暮れるまで待ってたけど、結局来なかった。


 僕は次の日から街の徘徊を止めた。しばらくして街に出てみると、いつもと変わらない風景がそこにあった。ただマイケルの姿はもう二度と見ることは無かった。もちろん僕は誰にも聞かないし、聞かれたことも無かった。それが僕たちストリートチルドレンの決まりだ。
 僕たちは将来の『夢』を語り合ったことが無い。『夢』を見るのは馬鹿げてるから・・・。
『明日』という日が来るといいなぁ。

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Te amo 最終話 [小説 Te amo 全15話+1話]

Te amo

 日没が近づきロウソクを灯す。いくつものロウソクの明かりがクリスマスツリーを輝かせた。
 俺の家ではサンタクロースにお願いをする時、ツリーの下に願いを書いた手紙を置く。息子たちが書いた手紙を開くと面白い事が書かれていた。
サンタクロース.jpg
サンタさんへ
 いつもプレゼントありがとう。
  だけど今年のプレゼントはいりません。
   代わりにトシを連れてきてください。

俺は息子たちにトシが行方不明になっている事を話した。戸惑いもあったが、今ある現実を息子たちにも理解してほしいと有りのままを伝えた。息子たちはサンタクロースが誰だか解っている。解っていてあの手紙を書いた。俺は喜びと笑いが同時に込み上げた。
 息子たちに用意したクリスマスプレゼントはサッカーボールとバスケットボールだった。そのプレゼントを渡すと、
「パパ、ママありがと~!」
家族4人で抱き合った。
 聖夜に家族が揃い、愛を確かめ、主に感謝し、降誕祭を祝う。毎年訪れるこの日を当り前のように祝ってきた。毎年幸福を感じていたが今年は至福の時である。数秒でも大切な人と居られることが、これほどの喜びを与えてくれると気付かせてくれたのはトシシロだ。しかし彼はここに居ない。


 俺はトシシロが消えてから繁華街やスラム街などを捜したが、トシシロの姿は見当たらなかった。刑事のカルロスには安否がわかり次第連絡をもらうことになっている。しかし一向に行方は掴めないままだった。
 ある日、ストリートチルドレンの中に東洋人がいたという情報があった。またある日、東洋系の男の子が大男と一緒にホテル街へ消えたという情報もあった。
 俺はストリートチルドレンにトシシロの事を聞いた。すると、
「俺等は仲間を売らない。あんたが誰か分からないのに話す事なんてないさ。」
俺は身分を証して、いくらかの金を渡した。
「名前は知らないけど最近俺等と一緒に日本人がいるよ。今日は見てないなぁ。」
「今はどこにいるんだ?」
と俺はまた金を渡す。
「アイツを見掛けるのは昼間だけなんだ。どこで寝泊まりしてるかは分からない。」
「その日本人に会ったら(マリオが捜している)と伝えてくれ。トシシロなら解るはずだ。」
ストリートチルドレンは頷き、俺は硬貨すべてを渡した。

 俺はトシシロが住んでいた屋敷へ向かった。山道を車で走りながら、以前トシシロに教えたことを思い出していた。(隠れる時は人が思いもつかない所へ身を隠せ。)(簡単に思いつくような所に隠れても何も意味がない。)
 大きな門は鎖で繋がれているが、人ひとりが通れる隙間があり、そこから俺は中へ入った。建物の入口は鍵が掛っている。裏へ回ると窓ガラスが割られていて、微かに人の出入りの形跡があった。俺は一度車に戻り、メモとペンを手に取った。メッセージを書いたメモを割れた窓に投げ入れた。
息子と約束してただろ?
 クリスマスを一緒に過ごすって。
息子たちが逢いたがってる。
  妻も楽しみにしてるからな! Te amo.


 妻がクリスマスのために食卓を鮮やかに飾る。妻の料理は日頃から美味いが、特別な日の料理も絶品だ。家族4人で食卓を囲み、神へ拝謝する。その時玄関のベルが鳴り、俺は誰よりも早く立ち上がった。

『din dooooon』

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Te amo 14話 [小説 Te amo 全15話+1話]

祈り

 空のキャンパスはあっという間に灰色となり、そのキャンパスに墨を垂らしたような黒色を帯び始めた。俺は山道を車で走りながらトシの言葉が次々と思い浮かんだ。
「ハジメマシテ。ワタシハトシシロデス。」
「よかっっったぁ~~~、日本語が話せる人で。」
「英語ってホント苦手なんだ。マリオはいろんな言葉が使えて羨ましい。」
「ピストルの使い方教えてくれてありがとう。」
「あの銃撃はヤバかったね!?でもマリオがいたから助かったんだ。本当にありがとう。」
「今日は本当に楽しかった。ありがとう。」
「マリオこそ気を付けてね。それと昨日はありがとう。」
「ありがとう。」
トシはいつも(ありがとう)だ。どんなに嫌なことがあっても最後は『ありがとう』と言う。その言葉に偽りはない。
「マリオ。胸と背中の傷痕見せて!?うわ、本当に串刺しだね。これで死ななかったのもきっと神様のおかげだよ!感謝しなくちゃ。」
「マリオは長生きしないとね。守るべき人がいるんだから。」
守るべき人は家族だけではない。俺にとってトシも守るべき人だ。

 あなたは何をお望みですか?彼は孤独を抱いて生まれてきました。何気ない日常の会話や出来事を知りません。非日常的な出来事を知っていても、それは彼が望んだ事ではありません。
 彼は新しい発見や出会いがあると無邪気になります。ですが、その次には心を閉ざしてしまいます。それが彼の持つ防衛本能です。本当に必要でしょうか?
 あなたはご存知ですか?彼は私に感謝の言葉を贈ります。その感謝の気持ちはあなたにも贈られている事を。きっとご存知でしょう。
 彼の苦しみや痛みを感じるたびに私はいたたまれなくなります。私に痛みを与えてくれたあなたを感謝いたします。彼と私を巡り合わせてくれて。
 数々の冒涜をお許しください。今、私の出来ることは善き人を守るため、彼のもとへ向かっています。彼を独りにしないでください。彼を守らせてください。私は家族を愛するように彼を愛しています。あなたの愛で彼を御救いください。


 激しいスコールが降りだす。視界が悪い中、トシがいる屋敷に着いた。
 政府から派遣された役人が数人いる。その一人に、
「ここの住人を見なかったか?12歳くらいの男の子なんだが!?」
役人は、
「いや見てないな。ここに来た時から屋敷は空っぽだった。」
俺は屋敷の中へ入ろうとしたが制止された。中でトシが隠れているかもしれないと説明したが、役人は隈なく調べて居なかったと言い張る。俺は制止を振り切ろうとしたが両脇を抱えられた。
「警官も一人いたはずだ!そいつに聞けば分かる。」
と怒鳴ったが、
「だから来た時には誰もいなかったと言ったろう。これ以上妨害するとただでは済まないぞ。」
俺は役人を振り払い、一人を殴り飛ばした。しかし数人に取り押さえられ、スコールで水浸しになった地面に顔を埋めた。

 屋敷の近くで役人が立ち去るのを待った。役人が引き揚げた後、俺は屋敷に忍び込んだ。ソファやテーブルなどは貼り紙がされている。
「トシー!?俺だ、マリオだ。」
いくつかの部屋で声を掛けるが返事はない。と言うより、トシが居た形跡も証も見当たらない。役人が持ち出したのか、それとも元々何もなかったのか。
 屋敷を出るとスコールは止んでいて、灰色の雲を縫って光が射す。濡れた地面すれすれを鳥の羽が舞っていた。その羽を目で追うが、やがて濁った水溜りに堕ちた。
堕天使.jpg

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Te amo 13話 [小説 Te amo 全15話+1話]

真実

 警察署の前に車を停めた俺は署内へ駆けこむ。
「カルロスに会いにきた。」
知り合いの警官に声を掛けてからカルロスのいるデスクへ向かった。
 扉を開けると窓際でカルロスは電話をしていた。電話をしながら(椅子に座れ)と手振りで促す。俺は椅子に座り電話が終わるのを待った。
「はい・・・はい。詳細わかり次第また連絡します・・・。はい、では。」
カルロスは受話器を置いて、大きなアームチェアに腰掛けた。
 「で、トシシロの件だが、どうなってる?」
俺は間髪いれずに問いかけた。カルロスはチェアを揺らしながら、
「昨日、大元のクライアントから連絡があった。日本人社長の秘書からだ。」
「それで?」
カルロスは煙草に火を付けて、顔色を変えず淡々と語り出した。
「リゾート開発は延期だそうだ。しかも無期延期だ。向こうで何かトラブルがあったらしい。支払いが無いのもその所為だ。」
灰皿に煙草の灰を落して、
「政府はショックだろうな。せっかく日本企業の誘致を優先して認可したのに、あちらの勝手な言い分で延期にされちまうんだから。」
カルロスはむしっていた爪垢を灰皿に捨てながら、
「こちらとしては金が無ければ動きが鈍ると説明したら、(開発は延期したのだから警備も警護も必要ない)とさ。その言い草だと日本人社長はもう来ないだろう。それで未払い分の金の事を言おうとしたら先に(今現在そちらにある私有財産を無条件で差し出す)って言いだしたよ。」
カルロスは立ち上がった。
「政府は財産差し押さえに必要な書類や手続きもすでに整っている。もちろん、あちら側からも必要な書類は送られている。それで本日土地や屋敷を押えに行く事となった。」
「どういうことだ?トシシロはどうなる?!」
カルロスは黙りながら煙草の火を消した。俺は怒りがこみ上げ、
「トシシロを1人にしてどうする!?アイツが危険な身に置かれているのは変わらないだろ!!」俺が椅子から素早く立ち上がると、
「止めとけ!もう遅い。すでに屋敷の方は押さえられているだろう。トシシロの処遇はいずれ下される。この国に居られても庇護しきれん!もうお前の手には負えないんだよ!?」
俺は椅子を思い切り蹴り、
「警察も政府も・・・。」
嵐の前.jpg

 俺は車を飛ばす。今朝、警官1人を寄越してくれたのはカルロスだ。カルロスは出来る限りの事をしてくれている。政府は金の事ばかりが先行しているが、クライアントからトシシロの指図が無ければ安易に動けない。何よりトシシロは全く事情を知らない。知らされていないのだ。
「待ってろトシー!」
誰もいない車内で俺は大声で叫んだ。

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